為無為(いむい「何もしないこと」をする)
私は、節税対策の極意は「為無為」だと思っている。つまり、何もしないこと。もっと砕いて言えば、「なるようになる」と覚悟を決めること。老子の言葉だ。
「人為」は虚しい。「無為」に徹する。人為とは「目標を持って、計画を立てて、頑張ること」だが、あまりにもこれが強調されすぎた。自分の努力でまわりの状況を変えることができるという錯覚に陥ってしまったのだ。これを「コントロール幻想」という。こういう人は努力しない人のことをバカにする。しかし、相続対策や税金対策で失敗する人のほとんどが、こういう「コントロール幻想」にハマっている人だ。
相続や税金の問題だけでなく、最近では、コロナ禍で自分の会社はどうなるのだろう?自分の人生はどうなるのだろう?今から打っておくべき手はないだろうか?などなど、心配で仕方がない。
将来のことを考えると「こうしてはいられない」と不安に押しつぶされそうになり落ち着かない。しかし、不安を抱えたまま行動を起こしても、ますます不安は増すばかり。そのとき、自信を持って「為無為」に徹するのだ。自分が行動を起こすのではなく、事が起きるのを待つのだ。
「為無為」に徹するとは、何もしないで歯を食いしばってジッと踏ん張っているのではなく、木の葉が川の流れに身を任せて流れているような状態のことだ。
何かしないといけないと不安を抱えながら、何も思い付かないまま時が過ぎてしまった、ということでもない。
ジタバタせず、流れに身を任せようと覚悟すると時間はゆったり流れるようになる。そうすればいつの間にか周囲の状況が変わり、状況は好転している。
人生、長い目で見れば損も得もない。右の道を選べば右の道があり、左の道を選べば左の道がある、ただそれだけ。どちらの道を選んだのが正解だったのかを検証する手段を我々は持っていない。だからどちらでもよい、比較し判断するだけ無駄だ、ということだ。
「節税のことを考えなくて良いのなら、税理士さんはいりませんね」という人がいる。そのとおり!税理士は節税コンサルタントではない。正確な税務申告をするお手伝いをしているだけです。(あははは、最後にええカッコしました)