青色申告は推計課税を受けません
青色申告のメリットはなんですか?と聞かれたら、ちゃんとした帳面をつけていることを前提として「青色事業専従者給与が必要経費になる」とか「青色申告特別控除」が使える」とか「損失を翌年以降に繰り越すことができる」とかとか、いろいろある。
以前は帳面をつけるのがめんどくさいから白色申告にしておく、という人もいたが今では白色申告でも記帳義務ができたのでそういうことも言えなくなった。
上記のようなメリットよりも、税理士が考える最大のメリットは何かというと青色申告には推計課税が禁止されているということだ。
推計課税とは、納税者が帳簿をつけておらず、資料が不備な場合や納税者が調査に協力しないなどの場合は、税務署は推計課税ができるとされている。
例えば、税務署が飲食店の売上高に疑問を持ったとする。帳面もなければ資料もないとなれば、メニューから平均単価を推計し、おしぼりなどの仕入れ数量から客数を推計し、年間の売上高を推計するのだ。
「うちはそんなに売り上げは多くはないよ」と言っても、その立証責任は納税者にある。
そうやって推計された金額に反証しようとしても帳簿や資料がないので無理だ。
というわけで推計課税というのは、税務署にとって、かなり強力な武器となっている。
令和2年度の税制改正では青色申告以外の者につき、給与等の源泉徴収の推計課税が認められた。
てことは、推計課税するには、いちいち法令に明文規定がいるのかという疑問が湧く、しかし、推計課税は明文の規定の有無にかかわらず認められている(最高判昭39.11.13)
ということは青色申告でも、いままで税務署は推計課税は可能だったということだ。
令和2年の改正によって、推計課税を創設的に認めたものではなく、青色申告者に対する推計課税を禁止したことがポイントである。
聞いた話だが、ある飲食店に税務調査が入った、いきなり入って来てレジを開けさせ、そこに入っている現金を数えさせ、現金出納用の残高を確認すると一致しない。そこで青色申告の取消し処分を受けてから、推計課税を受けたらしい。
1日の売上計上漏れ3万円×年間営業日数300日=900万円の年間売上計上漏れを指摘されたらしい。これを7年間やられたら店は潰れる。推計課税は怖い。
税理士のお客さんでこういう推計課税を受けるような人はいないけどね、