ギグワーカー

ギグワーカー

 最近、自転車で出前配達するウーバーイーツを見かける。単発で短期の仕事に従事する労働者のことを「ギグワーカー」という。それでも個人事業主だ。

 その典型がウーバーイーツ。スマホをオンラインにしておいて仕事が入るのを待つ。

注文がきたら配達して一回4百円~五百円程度。2週間後にはお金になるらしい。

 私は税理士になるまで職業を10回以上も変わった。私は組織には馴染めない。組織の中で生きていくくらいなら「死んだほうがマシ」と思っていた。だから、その頃、ウーバーイーツみたいな仕事があれば、自転車で走るのが趣味だった私はきっとウーバーイーツで出前配達をしていたと思う。運動にもなるし。

 私は何より他人から束縛されるのが我慢ならない。お金はどうでもいいから自由が欲しかった。それでサラリーマンから足を洗いたい、その一心で税理士になった。

 税理士になると電話とソロバン(あはは、ソロバンだよ)さえあれば独立できる、という本を読んで税理士を目指した。独立後まもなく相続税申告に専業特化したので、言ってみれば、その頃から私は「ギグワーカー」だったのだ。決まったお客さんもなく単発の仕事を請け負っていたからだ。その頃から「不安定」には慣れている。もう堅気には戻れない。

 非正規雇用者はいつでも簡単に首を切られ、生活が安定しない、などと社会的弱者とみられているが、私にとっては理想的な働き方だ。

 ギグワークの理想型は、黒澤明監督の名作「七人の侍」の働き方だと思う。「野武士から自分たちの村を守って欲しい」と農民から懇願され、志村喬が演ずるリーダーが腕利きの侍を集め、仕事が終わったらまたそれぞれに散っていく。仕事の報酬はタダでメシが食えるだけ。どうですか「ギグワーク」。……あはは、簡単ではない!。

 今ではネットを利用して「優秀な侍」を集めてギグワークが可能な時代になった。しかし、ある取りまとめ役が「おい、仕事が入ったぞ。いくらの報酬でやるか手をあげてくれ。安くやってくれる者に仕事を回す」とネットで呼びかけると、そこらでたむろする食い詰め浪人たちが「やらせてくれ、やらせてくれ」と安売りして、とても採算に合わない報酬で自分たちの首を絞めていく姿が目に浮かぶ。

投稿者: ihanamura

花村一生:昭和23年生、福岡県出身 さまざまな職業を遍歴後、昭和58年税理士として開業 花村会計事務所所長 法人の顧問を中心に開業したが、会計業務が性分に合わず、数年で 手を引く(生来のずぼらから会計業務は行わないにもかかわらず、 会計事務所の看板はそのままになっている) その後、相続税申告と不動産税務に専門特化して今日にいたる。 特に不動産の時価と評価額の矛盾に憤りを持っており、相続税の物納について 異常ともいえる情熱を燃やしている。一時は物納申請件数は日本トップクラス。 主に土地持ち資産家の相続案件を得意とする。 国土交通省外部団体の「都市農地活用支援センター」のアドバイザーとなっている。 納税者のために考え行動することがモットー。税務署と闘うことも辞さない。 著書:新日本法規出版「社会生活六法」税金分野担当

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