配偶者居住権
平成31年度の税制改正で配偶者居住権の評価方法が発表された。
配偶者居住権というのは民法(相続編)の改正法案が昨年7月6日に成立し創設された。施行は2020年4月1日以降だ。
それで「配偶者居住権」の税務上の取扱いがどうなるかが注目されていたのだが、案の定、「配偶者居住権」の評価の計算式は分かりにくいものとなった。
◆配偶者居住権=建物の時価−建物の時価×(残存耐用年数−存続年数)/残存耐用年数×存続年数に応じた民法の法定利率による複利原価率
◆配偶者居住権が設定された建物の所有権=建物の時価−配偶者居住権の価額
◆配偶者居住権に基づく居住建物の敷地の利用に関する権利=土地の時価−土地の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利原価率
◆居住建物の敷地の所有権等=土地の時価−敷地の利用に関する権利の価額
「ん?※□???!×○♯、なんじゃこりゃ」どうしてこんな複雑な計算式にするかなぁ、あ~、バカバカしい。こんな算式を考えたのはどこのどいつだ! 緻密にすればいいってもんじゃないだろ。理屈を通せばこの算式になるとはいっても、この計算式がすんなり理解できる人が異常なのだ。
エクセルで組めば簡単だけど。こういう計算すること自体がナンセンスだ。
相続税は自主申告制度を採っている。納税者が自ら計算して申告するのが原則だ。だからまずは、国民が理解できなければ意味がない。しかし、この算式をいったいどれだけの人が理解できると思っているのだろう。
物事を複雑にするな!一度聞いただけで腹にストンを落ちるようでなければ社会のルールとしては機能しない。
今回、民法の改正で取り入れられた「配偶者居住権」だが、そもそもこの制度を使う必要があるケースがどれだけあるのだろう。
配偶者が死ぬまで自宅に住み続ける権利。しかし、それを売却したり、自由に自宅を改修したりできない。そんな権利を評価して課税の対象としてよいのか。
私は実務で「配偶者居住権」というような制度があればいいのになぁ、なんて思ったことは過去に一度もない。「余計な制度を作るな!」こんな中途半端な制度を作るものだから、今度は配偶者が亡くなったときどう課税するかというややこしい問題が生じるのだ。それどころか「配偶者居住権」を使って節税を考えようというコンサルタントまで出てくる始末だ。呆れてモノが言えんわっ!配偶者居住権を使っての節税策など愚の骨頂だ。余計なことを考えるな!ったく!