教育資金一括贈与の非課税特例の改正
この特例はもともと評判が悪い。資産格差を固定化させてしまうからだ。しかし、孫が勉強好きなら、格好の相続税の節税対策として、ツボにハマっており、よく利用されている。
が、しかし、贈与したといっても、子や孫は、銀行の口座から直接引き出して使うことはできず、まずはいったん子や孫の手元のお金から教育資金を支払い、その領収書を信託銀行に持ち込んで、特例が使えるか否かのチェックを銀行マンから受けるのだ。OKが出たら初めて預金を引き出せる。
このとき銀行マンのチェックがネチネチと細かくていやらしい。まるで木っ端役人のチェックを受けるような感じらしい。なにしろ面倒臭い。
この特例は納税者のための特例というより、信託銀行が資産家と繋がるための商品にすぎない。
特例を受けた人たちは「節税になるからといって、もう二度とこんなことはしたくない」と思うらしい。
こんなことなら初めから現金でポォ~ンと渡してやればよかったのだ。その方が子や孫にも喜んでもらえるし、渡した方も気分が良い。もともと教育資金は、その都度・直接、渡していれば、この特例を使うまでもなく、根っこから非課税なのだ。
この特例はどんなときに使うかというと今にも死にそうなとき駆け込みで使うものだ。まだ10年や20年も生きそうな人が使うものではない。
「おじいちゃんが今にも死にそうです。今からやれる対策はありませんか」と聞かれたときの切り札として使う特例なのだ。
ところが、この特例が、ここ2、3年の度重なる改正で使い物にならなくなった。
◆平成31年度改正➡︎①「使い残し」に贈与税課税、②贈与者の相続開始前3年以内贈与を一部を除き、相続財産に加算する。
◆令和3年度改正➡︎①適用期限を2年延長②贈与者死亡時点の管理残高を受贈者が相続によって取得したものとみなし、孫等の場合は2割加算の対象とする。令和3年4月1日から適用する。以上で、この特例はまったく魅力がなくなった、しかし、駆け込みでやるなら今がチャンス!
よって、今年の4月以降この特例を税理士が勧めることはなくなると思う。
何事もそうだが、節税ありきで考えるべきではない。孫が勉強好きならどぉ~んと贈与してやればよいのだ。税金のこと考えるからややこしくなる。教育資金を贈与してやると子(孫の親)の家計が楽になる。そうなると家族の皆がハッピーだ。しかし勉強嫌いの孫なら「金をドブに捨てるようなもの」だ。