特別の寄与(いわゆる長男の嫁問題)

特別の寄与(いわゆる長男の嫁問題)

 長男の嫁が義理の父母の療養介護等に勤めても相続人ではないので、亡くなった義父母の財産を受け取ることはできない。これがいわゆる「長男の嫁問題」だ。

 相続人の場合には「寄与分」として相続人を救済する規定があるが、長男の嫁は法定相続人ではないので寄与分を請求できる立場にない。それで仕方なく、夫である長男の代わりに療養介護に勤めていたものとして、便宜上、長男が寄与分を請求する形をとっていた。

 それを一昨年の民法(相続編)の改正により、相続人の立場にない親族の場合は「特別の寄与」として救済する規定を設けた。これからの高齢化社会の時代では「被相続人の療養看護」が必要となり意味を持つ制度になる。

 この「特別寄与料」は亡くなった方の財産の分け前ではなく、家政婦あるいは介護費用程度になるものと想定され、それほど高額になるとは思われないが、相続人たちへの金銭の請求となる。仮に特別寄与料が300万円(次男から150万円、三男から150万円を受け取る)と仮定した場合、長男の嫁が受け取る「特別寄与料」の税金はどうなるのだろうか。長男の嫁は相続人ではないので、相続税は関係ない?平成31年度税制改正案によれば「特別寄与料」は遺贈により取得したものとみなして相続税の課税対象となるとしている。「一時所得」になるか、とも予想された方もあったが、結論として相続税課税で、しかも2割加算となる。てなわけで「え!なんで2割も余分に税金を取らるの?」と思う方もいる。今までの取り扱いよりは一歩前進とは言えるのは確かだが、長男の嫁の苦労に報いて2割税金を安くするくらいの配慮があっても良かったのにね。

投稿者: ihanamura

花村一生:昭和23年生、福岡県出身 さまざまな職業を遍歴後、昭和58年税理士として開業 花村会計事務所所長 法人の顧問を中心に開業したが、会計業務が性分に合わず、数年で 手を引く(生来のずぼらから会計業務は行わないにもかかわらず、 会計事務所の看板はそのままになっている) その後、相続税申告と不動産税務に専門特化して今日にいたる。 特に不動産の時価と評価額の矛盾に憤りを持っており、相続税の物納について 異常ともいえる情熱を燃やしている。一時は物納申請件数は日本トップクラス。 主に土地持ち資産家の相続案件を得意とする。 国土交通省外部団体の「都市農地活用支援センター」のアドバイザーとなっている。 納税者のために考え行動することがモットー。税務署と闘うことも辞さない。 著書:新日本法規出版「社会生活六法」税金分野担当

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