なにもしない、それも重要な選択肢のひとつ

なにもしない、それも重要な選択肢のひとつ

 節税対策セミナーに参加すると講師から「なにもしないと大変なことになりますよぉ~」と不安を煽られて「困った、困った、どうしよう」とジタバタする人がいる。

 税金を払うのはもったいない。その気持ちはよ~く分かる。しかし、税金が払えるのなら、なにもしなくてよい。じっとしていればよい。「なぁ~んだ、それだけ払えば済む話か、大したことないじゃないか」と口に出して言ってみることだ。心が落ち着く。これがジタバタしないための呪文だ。不安をもとに行動すると、ろくなことはない。

 対策が必要な場合とは持っている財産を現金化できなくて税金が払えず、背に腹は変えられない場合に限られる。そんな人は十人に一人もいない。ほとんどの人が実際よりも過大に相続税を見積もりしている。業者の脅しが効いているからだ。

 業者は不安を煽って商売にするのが仕事だ。「あなたの場合、なにもしなくていいですよ」とは絶対に言わない。

 「相続税は5千万円ほどになります」と聞いて気が遠くなりそうな人がいると、借金してアパート建築、生前贈与、養子縁組という節税対策に目がくらみ、それらに手を出していくと相続税が3千万円、2千万円減っていく、そのうち止まらなくなり、ゼロにまで減らそうとするところから間違いが起こる。

 入居者が見込めないところにアパートを建てたり、生前贈与をしすぎて子や孫の金銭感覚を狂わせたり、養子縁組をして戸籍を汚したりと、こういうことを本末転倒というのだ。

 その原因は自分の家族の場合、どの程度の相続税になりそうか見当もついてない人がほとんどだからだ。それが不安となり、やらなくてもよい節税対策にハマってしまうのだ。

 税金の問題は一般論はまったく役に立たない。自分のことだけ知っておればよいのだ。そのためには個別に相談することだ。自分の場合はなにもしなくてよいということがはっきり分かる。

 個別相談を受けて「これで安心しました。今晩からぐっすり眠ることができます」と安心して帰って行かれる姿を見送るのが何よりうれしい。

投稿者: ihanamura

花村一生:昭和23年生、福岡県出身 さまざまな職業を遍歴後、昭和58年税理士として開業 花村会計事務所所長 法人の顧問を中心に開業したが、会計業務が性分に合わず、数年で 手を引く(生来のずぼらから会計業務は行わないにもかかわらず、 会計事務所の看板はそのままになっている) その後、相続税申告と不動産税務に専門特化して今日にいたる。 特に不動産の時価と評価額の矛盾に憤りを持っており、相続税の物納について 異常ともいえる情熱を燃やしている。一時は物納申請件数は日本トップクラス。 主に土地持ち資産家の相続案件を得意とする。 国土交通省外部団体の「都市農地活用支援センター」のアドバイザーとなっている。 納税者のために考え行動することがモットー。税務署と闘うことも辞さない。 著書:新日本法規出版「社会生活六法」税金分野担当

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