口頭による死因贈与は認められるか

口頭による死因贈与は認められるか

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 甲さんの姉は離婚して戻って来て、独り暮らし。そこで甲さんは姉の住いとして父親から相続した土地と建物を甲の姉にタダで住まわせてやった。甲さんは「俺が死んだらこの土地と建物は姉さんが受け取って、そのまま使えばばよい」と常々、姉に言っていた。

 そうして甲さんは亡くなった。遺言書もなければ「俺が死んだらこの土地・建物を姉さんにやるよ」という死因贈与契約書も作ってなかった。

 甲さんの姉は相続人ではない。だから甲さんの財産を引き継ぐ権利はない。

 いったんは相続人である配偶者と子供A,Bが相続して相続税を支払い、その後、相続人から甲の姉へ贈与することになる。税理士さんや弁護士さんに相談しても同じ回答が返ってきた。

 こういう場合、どう考えればよいか。

専門家のいうことを聞いていたら相続税と贈与税の支払いで税金まみれになってしまう。

 この状況から生前に口頭による死因贈与があったことは容易に想像できる。

だから、こういうときは口頭での死因贈与契約があったと主張すればよい。それを遺産分割協議書にも次のように書き込んでおく。

「本件贈与は口頭で行われ文書は存在しないが、本契約の成立は贈与者の相続人と受贈者は承知していることであり、贈与者の死亡により贈与の効果が生じていることを当事者は異議なく確認した」

 口頭による死因贈与を無制限に認めたら何でもありになってしまう。

 なぜ、税務署はこういう事例の場合、認めるのだろう。

 なぜなら、それを認めても相続税は取れるからだ。甲の姉が死因贈与により受け取れば、相続税は2割加算の対象となる。よって税務署は何も損をしない。

 口頭による死因贈与が無制限に認められるわけはないが、「生前にそういう口頭での契約があってもおかしくはない」と思えば積極的にチャレンジすればよい。

  

投稿者: ihanamura

花村一生:昭和23年生、福岡県出身 さまざまな職業を遍歴後、昭和58年税理士として開業 花村会計事務所所長 法人の顧問を中心に開業したが、会計業務が性分に合わず、数年で 手を引く(生来のずぼらから会計業務は行わないにもかかわらず、 会計事務所の看板はそのままになっている) その後、相続税申告と不動産税務に専門特化して今日にいたる。 特に不動産の時価と評価額の矛盾に憤りを持っており、相続税の物納について 異常ともいえる情熱を燃やしている。一時は物納申請件数は日本トップクラス。 主に土地持ち資産家の相続案件を得意とする。 国土交通省外部団体の「都市農地活用支援センター」のアドバイザーとなっている。 納税者のために考え行動することがモットー。税務署と闘うことも辞さない。 著書:新日本法規出版「社会生活六法」税金分野担当

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