国税庁のチャットボット
今年の1月11日から国税庁のホームページでAI(人工知能)を活用したチャットボットの利用が始まった。
チャットボットとはおしゃべり(チャット)とロボットの合成語。
このチャットボットには「ふたば」ちゃんという名前がついている。現在は所得税の確定申告の質問(医療費控除や住宅ローン控除)に対応している。24時間利用が可能だ。
しかし、言っておくが、皆さんが使いこなすのは無理だ。
質問のしかたは2通り。①メニューから選択するか②文字入力するかだ。
だいたい何を質問してよいか分からない人はメニューからの選択になるが、画面を前にして「う~む、何を選択してよいやら、わけわかめ·いみふみこ」なのだ。
特に高齢者はあきらめた方がよい。文字で入力するのもめんどくさいし、時間をかけても正解にたどり着けないだろう。
私はてっきり口頭で質問して、それに答えてくれる対話型かも、と期待していた。せめてスマホのiPhoneのsiriみたいに音声入力のやりとりができるとよいのに。そのうち、そうなるだろうけどね。
そもそも論だが、相談者は正解を求めているのではない。話を聞いて同意してほしいのだ。「お金がなくて税金が払えないんですぅ~」「うん、うん、分かるよ、分かるぅ~」人工知能で正解を出すより、うなずいてくれるロボットがあればよいのにね。ウナロボだ。こうして納税者の声が集積され、ビッグデータとなって税制改正に結びつくとよい。江戸時代の目安箱のように。直訴受け付けロボットだ。
意外と思われるかも知れないが、数ある役所の中で好感度が高いのが税務署なのだ。怖い役所と思っていたのに、相談に行ったらとても親切に対応してくれたと。
これがデジタルで対応していたら高評価には繋がらなかったと思う。
税務署の若い職員たちが納税者に対して真摯に対応していたからだ。
この点については私も国税庁長官に成り代わって彼らに感謝しておこう。
しかし、国税庁としては「税務相談」の対応に時間と労力を割くより「税務調査」に力を入れたいのだ。
そこで税務調査もデジタル化の方向へ進んでいく。近いうちに税務調査も「オンライン·リモート調査」になる。
電子帳簿保存法により紙での保存が認められなくなり、電子データでの保存が義務付けられた(2年間の猶予が決まったが)このデジタル化に大企業は対応できても個人事業や中小企業は追いついていけない。
が、しかし、マイペースでいけばよい。特に税金の世界は誰ひとり置いてきぼりしてはいけない世界なのだ。「アナログの俺でも使えるシステムを早く開発しろ」とドーンと構えていればよい。ジタバタしても始まらない。